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言葉の問題〜続き

 しばらく前から、ネットのお客さんを中心にレビューをお願いしています。
 なかなか思うようには数が集まらないのですが、なかには素晴らしいのを書いて下さるかたもいます。
 数が集まるのを待っていたらいつご紹介できるかわからないので、ここで書いてしまいます。
 横浜市内にお住まいの女性から。

エチオピア イルガチャフィー チェレレクト(焙煎度:浅煎り)

さらりと喉に落ちていく飲みやすいコーヒーです。
小さめで形の美しい豆が育ちの良さを物語ってます。ゆっくり大人になった感じがする独特の慎み深さを感じます。
果物のようなフレッシュな香りがしますが、浅煎りなのに酸っぱさはなし。甘みとほのかなナッツのような旨味があります。比較的淡白なカシューナッツやマカデミアナッツのような味わいです。
コーヒー好きな方がしみじみ旨いと感じる滋味深さだと思います。
紅茶に例えるならば、セイロンティーのヌワラエリヤみたいな感じでしょうか。
さらりと美味しいコーヒーです。

私、エチオピアのコーヒー好きです。
きっとこの豆は涼しいところでじっくり育てられたものなんでしょうね。
ゆっくり育った農作物の実力はすごいです。華やかではないけど、じわじわ来る旨味が素晴らしいです。

グァテマラ アンティグア アゾテア農園(焙煎度:中煎り)

ドリップの最中、立ち上る香りはバラ科の植物系です。
フレッシュなプルーンの香りやアーモンドオイルみたいな甘さがあります。
淹れたてはさらりとしてますが、飲み終わりは梅の実のような酸味がしっかり出て来ます。
浅煎りは魚介類をしこたま食べた後、さっぱりしていいかも。

酸味は色んな種類がありますが、このコーヒーの酸味はのし梅的な懐かしさがありますね。
面白いですね。

今回のコーヒーの中では、一番好きだったのはチェレレクトでした。
フルーティだけど甘さがじわりとし、バランスが良くて飲みやすかったです。

言葉の問題

 ロバート・B・パーカーの“スペンサーシリーズ”には、よく食事や調理の描写が出てきます。カッコいい大人の男(主人公の探偵スペンサーのことね)はちゃんとした食事をするべきであって、しかも誰か、たとえば彼女に作ってもらうんではなくて、自分のほうが作って彼女に食べさせるほう。そこいらが人物造形の一つのファクターになっているわけです。

 池波正太郎の作品にもよく「うまいもの」が出てくるのですが、こちらは自分で作る訳ではない。火付け盗賊改めのボスである鬼平がみずから包丁を握るなどというのは、作品の時代背景からも、作家自身の価値観からも「それはなし」ということでしょうか。

 両方に共通しているのは、料理の美味しさに関する描写が、簡潔だけれどもじつに巧みで、読んでいる方は「食ってみたい」と思わずにはいられなくなること。

 私がいま悩ましく感じているのは、味や香りをどうやって言葉で表現すれば良いかということでして、あれこれ書いてはみるものの、どうもお客さんには伝わっているような気がしないのです。まさかパーカーさんや池波さん並みとは言いませんが、もう少し飲んでみたい気にさせる書き方ができないもんだろうかと思います。

 そもそも味だの香りだのというのは非言語情報であり、かつ個人の感覚の領域に属することであって言葉にすること自体が難しいのだ、などと開き直っていては商売になりませんから、業界でもいろいろな試みがなされています。

 コーヒーを仕入れる場合に、味や香りを確認するための手法として業界の標準となっているのが「カッピング」と呼ばれる評価方法です。あちこちに書かれているので詳しい説明は省きますが、カップに入ったコーヒーの粉の香りを嗅ぎ、お湯を注いでしばらくおいた後スプーンで口に含み舌や鼻腔で香味を感じ取る、さらには感じたことを点数や言葉で専用の用紙に記録していくというものです。専門機関によって認定されたQグレーダーと呼ばれる人たちがいて、この人たちのカッピングの採点結果が客観的な評価としてコーヒーの格付けに使われたりもします。

 85点以上あればスペシャルティーコーヒーとして十分なグレードに達している、という具合に点数化され、ある意味非常にわかりやすいのがこの評価方法の特徴です。もう一つの特徴は、カッピングのシートに感じた事柄を言葉にして記入するというもので、たとえば「青リンゴのようなフレッシュな酸」だとか「かすかに黒糖のような甘み」「ベリーやオレンジの香り」などと表現したりします。こうした一種の「たとえ」はある程度共通語化されているようで、慣れてくると「黒糖のような甘み」と書いてあったら、だいたいあんな感じかな、ということがわかってきます。

 業界のなかはそれでもいいのです。「官能評価」と言いますが、香りと味をちゃんと伝えようとしているだけ、昔よりはるかにマシです。
 しかし、お客さん相手にそうした言葉を並べ立てても、あまり響いてはくれません。

 うちの奥さんは、「ごちゃごちゃ言ってもだめ、決め手は『おいしいですよぉ』のひと言」と言って憚りません。

 そうだよなぁ。
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