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店づくりすったもんだ日記〜その9

after.jpg

 完工後の間取りおよび見取り図です。
 番号順に紹介します。

玄関DSC2029

 ①の玄関部分。ここで難しかったのは、もともと三和土と居室の高低差が30cmほどあったものを、なるべくフラットにして、靴のまま入れるようにすることでした。居室部分の床下には基礎が組まれているので、完全にフラットにはできません。そこで、②、③および⑤の床は三和土から20cmの高さ、④、⑥はさらに10cm上がって元の高さのまま、ということになっています。靴を脱ぐのは④のところ。
 「段差をなるべくなくす」というバリアフリーの考え方から言うと真逆もいいところ。しかーし、いくらフラットにしたところで、引っかかるときは絨毯の端にだってひっかかるわけで、心配してたらキリがないだろと開き直ることにしました。

レジまわりDSC2112

 ②のレジコーナー。右手のレジスターは階段の下の空間にカウンターを増設して収納。カウンターの下は問題の用具洗いのシンクと物入れになっています。
 ビフォアの間取りではここはトイレでしたが、Tさんの提案でトイレを2階に移し、このようなコーナーに作り替えてもらったものです。トイレを2階にという発想はまったくなく、最初どうなんだろうと思いましたが、カミさんは即賛成。説明を聞いて回転の鈍い私も「なるほどね」と納得できました。狭小空間問題を解決するひとつの突破口だったと思います。

焙煎カウンターDSC1995

 ③の焙煎カウンター。“すったもんだ”の主役登場です。
 畳2枚分に満たないスペースに焙煎機2台、豆を挽く業務用グラインダー、焙煎作業スペース、豆の展示台、生豆の保管スペース、マガジンラック、手洗い用シンク、掃除用具がばっちり収まっています。
 こうして見るとまるで3Dのパズルのようです。写真を見ただけでは分かりませんが、作業しやすくするためカウンターをこの高さにしてくれだの、焙煎機のメンテナンスもしやすくしてくれだの、当方からの機関銃のようなワガママ攻撃もすべてクリアしています。
 機能性だけでなく、大ぶりのタイルを配した壁面に焙煎機の真ちゅうのカバーが美しく映えるデザインも、ことのほか気にいっています。
 これを作るのがどんなに大変であったか、Tさんはあまり触れませんが、何となく想像はつきます。
 あらためて申し訳なく思いつつも感謝!

抽出カウンターDSC2117

 ④の作業カウンター。ここでは商品のパッケージングなどを行っています。このカウンターの下は実は靴箱になっています。玄関を店と共用にしたことで、意外に困ったのが靴問題。裏から出はいりできないかとか、さんざん考えたあげくTさんが出してくれたのがこの案でした。お見事!

試飲室DSC2084

 ⑤の試飲スペース。ほかに良い呼び方がないため試飲スペースと呼んでいますが、試飲した後で購入する商品を決めていただくわけではありません。焙煎の待ち時間にコーヒーを飲んでいただくためのスペースです。
 開店して1年近くが経つわけですが、「素敵!」とか「落ち着く」とか「うらやましい」とか、特に女性から好評です。4人も入れば一杯になってしまう狭い空間ですが、珪藻土の壁、鏡を埋め込んだ無垢の古材カウンターや味のある風合いの床材、雰囲気のあるタイルなど、Tさんのセンスとデザイナー魂がいかんなく発揮されています。

事務室DSC2152

 ⑥の事務スペースは試飲室のカウンターと壁を挟んで背中合わせになっています。試飲室と兼用の壁には収納ラックを作り付けて書類フォルダなどを収納。ラックの下部の空間にPCのディスプレイをもぐりこませてスペースを稼いでいます。

 さてさて、この連載もようやく完結です。
 先日、Tさんが来店されて、当店の事例が第31回 『 住まいのリフォームコンクール 』の『 企画賞 』 を受賞したと嬉しい報告をしてくれました。

『 住まいのリフォームコンクール 』
https://www.chord.or.jp/tokei/contest_01.html

 「おめでとうございます」なのか「ありがとうございます」なのか、自分の立場がよくわからないのですが、いずれにせよ喜ばしいことです。

 自分のなかでは久々の大事業であった店づくりの記録を、いっちょブログに残しておくかと書き始めてみたものの、“おしゃべり”が止まらなくなってしまいました。
 それと頑張ってくれたTさんへのささやかなお礼の気持ちもあったわけですが、エスカレートして関係ない人にはちょっと過剰な“大礼賛”ぶりとなってしまいました。
 そこは個人のブログということでご勘弁ください。

 お付き合いいただいた皆様ありがとうございます。


このテーマ<完>
 






店づくりすったもんだ日記〜その8

 そんなつもりじゃなかった長〜い連載も、そろそろ「完」の文字が近づいてきました。
 とうとう間取り問題に突入します。
 下の見取り図がいわゆる「before」です。
 昭和の終わりころ建てられた、どこにでもある建て売り住宅ってやつですね。
 これを店に改装した、と。

before.jpg

 家が広ければ何の問題もなかったでしょうが、この狭い中に人間ふたりと猫1匹がくらすスペースも確保しながらとなると条件がまったくちがってきます。店に当てられるのは1階部分の約半分。そこに焙煎機を置く台からショーケースから、レジカウンター、在庫の保管場所、さらにあろうことか試飲スペースまで設けようというのですから、我ながらどこにそんなスペースがあるんだ?と突っ込みを入れたくなります。

 そりゃあ、もういろいろ考えましたよ。
 最初は六畳の和室だったスペースをそのまま試飲室にするつもりでしたが、靴を脱いで上がるのが不評で断念。靴のまま入るには床を下げないとならないのですが、床下は基礎が15cmぐらい立ち上がっているため、平らにはできない。できたとしても、障害物競走よろしく基礎を乗り越え乗り越え出入りするという漫画みたいな話になってしまいます。
 試飲室はむりかなぁと思いましたです、はい。

 焙煎カウンターをどうするか、これも最後まですったもんだ。
 押し入れのあった場所あたりをカウンターにすれば、ナントカなるかなと思っていたのですが、構造上抜いてはいけない柱があって、ココにカウンターは持って来れないことが分かりました。
 素人考えというのはどうもいけません。

 例の洗い場2カ所設置問題もあってアタマを抱えているところに、自分の仕事用のデスク(パソコン4台)もどっかに突っ込まなくてはならないことにも気がつきました。
 
 
 しかーし、デザイナーのTさんは根気よく何回もプランを練り直して、少しずつ問題をつぶしていってくれました。
 いよいよ次回、最終回で劇的?アフターをご紹介。

<つづく>

店づくりすったもんだ日記〜その7

 前回、だいじなことを書き忘れてしまいました。
 リノベーションにあたって、店舗のイメージをどうまとめるのか。
 昭和ど民家風の作りみたいなことを言ってはいたものの、はっきりしたイメージが自分の中にあったわけではありません。ほんとうところは何も考えていなかったのです…たぶん。

 Tさんは何度か打ち合わせをするうち、こちらの「ぼんやり」具合を察知したのだと思いますが、全体的なイメージづくりに関してもさまざまな提案を行ってくれました。福生の米軍ハウスを現代風にアレンジした住居だとか、地方都市の倉庫を改造した古民具を売る店だとかの雑誌記事などを持参して、具体的なイメージづくりを手伝ってくれました。

 話し合いを重ねるうちに、こちらもどんなものが好みなのか、ほんとうはどうしたいのか気付かされるということが何度もありました。昭和といっても戦前のものもあれば、わりあい最近のものもあり、かなりの幅があります。気付かされたのは、実はレトロというより自分の育った時代に周囲にあったもの、ないしはその雰囲気のようなものを求めていたらしいのです。

 そのように手探りを続けるうち、「ミッドセンチュリー」という言葉がどちらからともなく出てきました。あとで知ったのですが、目黒通り沿いの家具屋さんをのぞくと、’50年代から’60年代の主にアメリカのビンテージ家具を並べているところがとても多く、ひとつのトレンドともなっているようです。代表的なのがイームズの椅子。当店でもレプリカを置いていますが、インテリアの雑誌などみるとかなり頻繁に誌面を飾っています。

 自分の記憶の中では、JR、もとい国鉄の駅とか公園にあったあの椅子です。イームズの派生タイプだと知ってちょっとびっくりでした。失礼ながら当時の駅の椅子なんて少しもオシャレとは思いませんでしたが、本家の方はおなじようでいながらずいぶんカッコいいではありませんか。

 ’60年代あたりの東京と言いますと、いかにも昭和な民俗風習がまだまだ残るいっぽう、進駐軍駐留時代の残滓のようなものもふわふわ漂いどこかゴタ混ぜ的な空気があったように思います。家にはちゃぶ台や竹箒、物干し台なんかがあるいっぽう、新宿駅から駅ひとつめの立地に、芝生の植わった広い敷地に赤い屋根の米軍ハウスもあったり…。近所に多かったのが「文化住宅」というやつで、基本は平屋の六畳二間に台所。少し上等なのは縁側もついて、玄関脇の小さな客間にはレースのかかったソファが置かれたりしていました。
 青少年はファッション、音楽はじめ欧米の文化にどんどん染まっていき「アメリカナイズされた若者」という嘆きまじりの言葉が当時の大人からは聞こえてきたものです。
 
 人は、若いころ周囲にあったモノを生涯にわたり好ましいと感じる、そんな話を聞いたことがあります。
 はいはい、私もまったくその通りです。

 またまた話が大きく蛇行。ええと、何が言いたかったかというと。
 客(私です)というのは、自分が何が欲しいのかよくわかっていない場合が案外多いのではないかということです。市場のニーズを把握しみたいなことを言いますが、客当人が自分のことなのにニーズもウォンツもてんでわかっていない。そのくせ仕上がりへの期待はどこまでも大きく。まったく面倒な客です。
 そこでプロフェッショナルが登場し、客自身も分かっていなかったココロの声を引き出してカタチにしてくれる、と。
 Tさんの仕事ぶりのなかで、特に私が感心したことのひとつです。手間がかかって大変だったろうと申し訳なく思いますが。

<つづく>

店づくりすったもんだ日記〜その6

 さて、デザイナーのTさんの仕事ぶりについて。
 店舗設計専門のところより、住宅のリフォーム会社のほうが面白いものができるかもというねらいは、結論から言えば大正解でした。それもこれもデザイナーのTさんがいてくれたおかげ、だと思っています。
 彼女はじつは店舗のデザインを担当した経験はほとんどないということでした。しかしそれで尻込みするのではなく、逆に自分にとり新しいチャレンジということで、ものすごく意欲的に取り組んでくれました。

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 上の写真は店舗の床に使われている松の古材です。これは厚木にある古材やアンティーク専門ショップの倉庫に、私ら夫婦と彼女の3人で出かけて、色味や風合いを確かめながら1枚1枚選んだものです。もともとはアメリカの牧場や納屋で使われていたとか。何十年もの歳月にさらされてとても良い感じに古びているわけですが、その分材料にバラツキ、言い換えれば個性があります。そのため、自分たちで吟味して選んだほうが良いとのTさんからアドバイスに乗っかって厚木まで出かけたのでした。
 輸入古材を床に使うなんて発想は、もちろん私の古ぼけたアタマのどこを叩いても出てくるはずはありません。それまでにも様々な素材のサンプルを見せてもらい、ショールームにも行き、そうこうするうちに彼女がこんなのはどうでしょうと持ってきてくれたのがこの古材の床でした。
 床材を選ぶためだけに、Tさんには半日、厚木までおつきあいいただくことになりました。


photo2 photo3 photo6


左上の写真はコーヒーの生豆を並べるためのショーケースです。豆を入れて並べる容器には“ねこ瓶”といって、昔駄菓子屋さんなんかで使っていたアレを100円ショップで見つけて使っているのですが、これをお客さんから見えやすいよう、斜めに傾けて置ける展示台を作ってほしいとワガママ全開のお願い。もちろん造作してもらったわけですが、丸いねこ瓶がうまく上を向くよう棚板は特殊な構造になっています。(写真中央)Tさんはこれもひるむことなくチャレンジ、こちらの要求通りの仕様のものをデザインしてくれただけでなく、革張りの表装まで自ら提案しDIYでやってのけてくれました。写真の“鋲”(写真右)になかなか良いのが見つからないと、あちこち探しまわってくれましたっけ。もう、“何もそこまで”状態ではありました。


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 シーリングライトは裸電球っぽい雰囲気のあるLEDを、岡山の輸入業者でしたが、Tさんがネットで探し出してきてくれたもの。こんなのがすでに世の中に登場しているとは全然知りませんでした。こういったリサーチ&プレゼンテーションに関しても(この人すごいな〜)と思わずにはいられませんでした。

 キリがないのでこれぐらいにしますが、店の表情づくりに大きく貢献してくれているタイルの壁やカウンターなども、いくつもの素敵なプランを提示してもらった中から、私たちは「これが好き」などと選んだだけ。


photo5


 なんて言いますか、徹底しているんですね、仕事ぶりが。我が身を振り返って、つい楽な方に行きたくなる俺って…と反省してしまいました。

 さあ、最大の問題であった間取りおよび狭小空間問題を、彼女がどう解決していったか、ようやくたどり着けそうです。

<つづく>

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